『Diamond Impulse』を観ていて、久しぶりにワクワクしました。
懐かしいのに新しい。王道なのに見たことがない。
そんな不思議な感覚です。
もともと私は竹田悠一郎先生のショーが好きでした。
星組『Tiara Azul Destino』も大好きな作品のひとつです。
しかし『Diamond Impulse』を観て、その思いはさらに強くなりました。

なぜ私はこれほど竹田先生のショーに惹かれるのでしょうか。
今回は『Diamond Impulse』を入口に、竹田悠一郎先生というショー作家の魅力について考えてみたいと思います。
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今からむさ苦しい話が始まります…

薄目を開けて見守っていただけますと幸いです…
『Diamond Impulse』で感じた不思議な感覚
『Diamond Impulse』には、一歩間違えれば過剰になりそうな要素が数多く登場します。
鮮やかな緑色の衣装。
怪盗Mのロマンチックな世界観。
男役たちが銀橋にずらりと並ぶワッチコン。
さらには全身金色の衣装をまとった娘役たちの登場。
こうして並べてみると、かなり情報量の多いショーです。
しかし実際に観ると、不思議と嫌味がありません。
派手なのに下品にならない。
熱量が高いのに押し付けがましくならない。
むしろ観ている側は「もっと見たい」と感じてしまいます。
私自身、この感覚がとても不思議でした。
なぜなら、同じ演出を別の形で行えば、簡単にバランスを崩してしまいそうだからです。
特に印象的だったのがワッチコンの場面でした。
高級なカーテン生地をそのまま衣装にしたかのようなギンギラギンな男役たちが銀橋に並び、客席を煽る。
冷静に考えると、かなり大胆な場面です。
しかし不思議と嫌味にならない。
むしろ『Diamond Impulse』を象徴する名場面のひとつになっていました。
この「ギリギリなのに成立する感覚」こそ、竹田先生のショーの魅力を考える上で重要なヒントなのではないかと思いました。
竹田悠一郎先生はレビューオタク???
『Diamond Impulse』を観ていて私が感じたのは、竹田先生は根っからのレビュー好きなのではないか、ということです。
その原点として思い浮かぶのが、星組『Tiara Azul Destino』です。
竹田先生の大劇場デビュー作となったこの作品は、失恋した男女がカーニバルで出会い恋に落ちるストーリー仕立てのラテンショーでした。
しかし、この作品の最大の魅力は、やはり中詰のカーニバル場面だったと思います。
客席を巻き込む熱量。
運動量の多そうなサンバダンス…
これも、衣装が羽つきで総スパンコールのギンギラギン衣装。
ひと昔前の宝塚のショーでよく着ていたような衣装です。
でも、星組生のパッションにこのお衣装がとてもマッチしていました。
こっちゃん時代の本公演は激戦過ぎたのと当時は友の会の申込間に合わずで観劇叶わずでしたが、ありうたもえトリデンテの全ツのプレお披露目の市川公演で再演した時に、ようやく初めて生で見た時はメチャクチャ興奮しました。
その後は、しっとりとした裸足で踊るトップコンビのデュエットダンス。
そして大階段を使った、おとぎ話のようなプリンセス感あふれるデュエットダンス。
そこには80年代から90年代の宝塚レビューを思わせる王道の魅力が詰まっていました。
私は当時、『Tiara Azul Destino』を観ながら、
「この人は本当に宝塚レビューが好きなんだな」
と感じたことを覚えています。
新しいことをやりたいというよりも、まず自分が好きなレビューの快感を全力で届けたい。
そんな思いが伝わってくる作品でした。
そして、それは『Diamond Impulse』にも共通しています。
怪盗M。男役群舞。幻想的な歌唱場面。デュエットダンス。
どれも宝塚レビューの王道要素です。
特に怪盗Mは印象的でした。
白いタキシードに赤を効かせるところは、どこか怪盗キッドを連想させます。
そして本来ならダイヤを巡る怪盗同士の駆け引きになりそうなところを、最後は恋物語へと着地させる。
ダイヤを盗むはずだった怪盗たちが、結局はダイヤを盗まずにお互いの心を盗まれてしまうのです。
私はこの場面を観ながら、
「なんて可愛らしい場面なんだろう」
と思いました。
宝石より恋。
スリルよりロマンス。
まさに宝塚レビューが愛してきた世界そのものです。
友人が、このショーの感想として、「昔の三木(章雄)先生っぽさを感じた。」と言っていたのが印象的です。
友人の言葉で思い出したのが、ヤンさん(安寿ミラさん)の退団公演の『メガ・ヴィジョン』です。
ネットに転がっている動画を見返して、改めて、わかりみ深い!!!!と思いました…
(これ、スカステで流して欲しいっす…今見ても、ワクワクします。装置は今よりも劣るかもしれないけど、もう、当時のジェンヌさんたちのパフォーマンスが素晴らしすぎる!!!)
『Diamond Impulse』は斬新なショーというより、竹田先生が好きなレビューの魅力を現代的な感覚で再構築したショーなのかもしれません。
だからこそ、どこか懐かしく、それでいて新鮮に感じるのでしょう。
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竹田先生、いつから宝塚をご覧になっていたんだろう…

90年代のレビューをこよなく愛する身としてはわかりみ深すぎる場面が多すぎる…
『愛、LOVE、Revue!』が転機になったのではないか
『Diamond Impulse』について考えているうちに、もうひとつ気になったことがあります。
それが、竹田先生が『愛、LOVE、Revue!』で演出助手を務めていたことです。
『Tiara Azul Destino』と『Diamond Impulse』の間に位置する作品であり、私はこの経験が少なからず影響しているのではないかと感じています。
『愛、LOVE、Revue!』は、岡田敬二先生によるレビュー作品です。
過去のレビューへのオマージュが随所に散りばめられた構成でありながら、単なる名場面集にはなっていませんでした。
私自身、「これが観たかった岡田レビューだ」と感じた作品でした。
助手としてどこまで関わったのかは正直、わかりません。
ただ、ここ最近の岡田先生のレビューにしては非常にテンポが良く、ときめきの連続でした。
そのテンポの良さに、うっすら竹田テイストを感じてしまったのです。
特に印象的だったのは冒頭です。
主題歌とともに冒頭から大階段を使った華やかなレビュー場面が展開され、劇場の空気が一気に高揚していきます。
そして、その勢いをさらに加速させていたのが石井勇魚先生の指揮でした。
オーケストラから伝わってくる熱量も含めて、
「レビューって楽しい!」
という気持ちが客席に真っ直ぐ飛び込んでくるような舞台だったのです。
さらに中詰の「BAD POWER」では、その熱量が頂点に達します。
男役の格好良さ。客席を巻き込む高揚感。
レビューならではのエネルギー。
まさにブチ上がるという言葉がぴったりの場面でした。
振り返ってみると、『愛、LOVE、Revue!』で強く印象に残ったのは、レビューという様式美そのものへの愛情だったように思います。
もちろん、『Diamond Impulse』が『愛、LOVE、Revue!』の模倣だと言いたいわけではありません。
しかし『Diamond Impulse』を観ていると、どこか共通する空気を感じます。
男役を格好良く見せたい。客席をワクワクさせたい。レビューならではの高揚感を届けたい。
そんな純粋なレビュー愛です。
ワッチコンを見ていると、「BAD POWER」をどうしても思い出してしまいました(笑)
『Tiara Azul Destino』で見せた王道レビュー愛が、『愛、LOVE、Revue!』という現代の岡田レビューに触れたことで、さらに磨かれたのかもしれません。
だからこそ『Diamond Impulse』には、懐かしさと新鮮さが同居しているのでしょう。
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『愛、LOVE、Revue!』、発表当初は散々ディスられていたけど…

始まったとたんに鎮静化されて大絶賛だったよね…
組の新たな魅力を発掘するショー作家
今回改めて感じたのは、竹田先生は組の魅力をよく見ているということです。
例えば『Tiara Azul Destino』の星組。
当時の星組は、こっちゃん(礼真琴さん)を中心とした圧倒的な熱量が魅力の組でした。
竹田先生はそんな星組に、中詰のカーニバルの舞台を用意しました。
客席を巻き込みながら一気に駆け抜けるあの場面は、まさに星組の持つエネルギーが最大限に発揮された瞬間だったと思います。
一方、『Diamond Impulse』の宙組はどうでしょうか。
宙組には昔から、洗練されたスタイリッシュなイメージがあります。
だからこそ、格好良く見せようと思えばいくらでも格好良く見せられる組です。
しかし竹田先生は、その王道をなぞるだけではありませんでした。
象徴的なのがワッチコンです。
男役たちが銀橋に並び、客席を煽り、熱量をぶつけてくる。
それは従来の宙組のイメージからすると、かなり大胆な挑戦だったように思います。
私はこの場面を観ながら、
「宙組にはこんな一面も出せるのか!?」
と驚きました。
既にある魅力を見せるだけではなく、その組がまだ見せていない魅力を引き出そうとする。
それもまた竹田先生の特徴なのではないでしょうか。
そう考えると、最近のもえこ(瑠風輝さん)の変化とも少し重なります。
もえこが星組に組み替えして最初に出演したのが全ツでしたが、よりにもよって、『Tiara Azul Destino』でした。
宙組時代には見せていなかった魅力を、このショーで沢山見せてくれました。
それまでのもえこは涼しげなイメージだったので、汗だくで全力で踊りまくっているもえこは新鮮でした。
そして、もえこ沼に落ちた人が続出しました(笑)
星組への組替え後は次々と新たな魅力を開花させています。
環境が変わることで、新しい魅力が見つかる。
竹田先生のショーにも、どこか似た発想を感じます。
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竹田先生、組カラーをしっかりわかってるけど冒険も出来る…

もしや、組子をその気にさせちゃうのも上手い!?
だから竹田悠一郎先生は「寸止めの天才」なのだ
ここまで考えてきて、私は改めて竹田先生を「寸止めの天才」だと感じています。
その象徴がワッチコンです。
男役たちが銀橋にずらりと並ぶ。
全身ギンギラギンの衣装。
客席を巻き込む圧倒的な熱量。
冷静に分析すると、かなり危険な場面です。
一歩間違えれば、成り金趣味だとか、悪趣味だとか言われてもおかしくありません。
しかし実際に観ると、不思議とそんな感想にはならないのです。
むしろ楽しい。
格好良い。
ずっと見ていたい。
そんな気持ちになります。
なぜなのでしょうか。
私はそこに、竹田先生の絶妙なバランス感覚があるのだと思います。
ワッチコンを観ていると、竹田先生の本質は「肩をぶん回したい人」なのだと思います。
レビュー好きとして、男役を格好良く並べたい。
客席を盛り上げたい。
思い切り熱量を上げたい。
そういう欲求を隠していないのです。しかし本当に面白いのはそこからです。
竹田先生は、ぶん回したまま終わりません。
一歩間違えれば過剰になりそうな演出を、絶妙なところで成立させてしまう。
ギリギリのところで止める。
だから嫌味にならない。だから観客は気持ちよく高揚できる。
私はその感覚を、「寸止めの天才」と呼びたいのです。
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一歩間違えれば大事故になるところを、大絶賛に変えられるってスゴい…

友人の「程よいダサさがたまらん…」には激しく同意…
(でも、ダサくない…)
竹田悠一郎ショーの魅力とは何か
『Diamond Impulse』を観ていて感じたワクワクの正体を考えてみた結果、私は改めて竹田悠一郎先生というショー作家の魅力に気付かされました。
王道レビューへの愛情。
組の魅力を見抜く観察眼。
そして新たな魅力を発掘する力。
さらに、一歩間違えれば過剰になりそうな演出を成立させてしまう絶妙なバランス感覚。
竹田先生は、間違いなく肩をぶん回したい人です。
しかし同時に、どこで止めれば観客が一番気持ちよくなれるのかも知っています。
だからこそ、『Diamond Impulse』は懐かしいのに新しく、安心感があるのにワクワクするショーだったのかもしれません。
振り返れば、『Tiara Azul Destino』のカーニバルもそうでした。
『愛、LOVE、Revue!』で感じたレビューの高揚感もそうでした。
そして『Diamond Impulse』のワッチコンもそうです。
そこに共通しているのは、レビューへの愛情です。
だから私は、竹田先生を「レビューオタク」と呼びたくなります。
もちろん最大級の賛辞として。
もともと好きなショー作家さんでしたが、『Diamond Impulse』を観て、その思いはさらに強くなりました。
竹田悠一郎先生のショーには、レビューへの愛情と組子への信頼が詰まっているように思います。
だから私は、『Diamond Impulse』を観て、ますます竹田悠一郎先生の作品が好きになり、今後がますます楽しみになりました。
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次回の雪組公演が楽しみ!

どの指揮者さんと組むんだろう〜そっちも気になる!
余談|いつか見てみたい竹田悠一郎×石井勇魚
余談になりますが、『愛、LOVE、Revue!』で強く印象に残った人物がもう一人います。
指揮の石井勇魚先生です。
冒頭の大階段レビューから、中詰の「BAD POWER」まで。
オーケストラから伝わる熱量は、作品の高揚感をさらに押し上げていました。
「BAD POWER」ではどんどんピッチが上がっていくので、興奮する一方、こ、これ、ジェンヌさんたち、肩脱臼しないだろうかと、ドキドキしていました…(汗)
その姿を見ながら、私はふと思いました。
「この人も相当レビューが好きなのではないだろうか」と。
レビュー好きのショー作家と、レビュー好きの指揮者。
もしこの二人が本格的にタッグを組んだら、おそらく大変なことになると思います。
良い意味で。
竹田先生は肩をぶん回したい人。石井先生は音楽をぶん回したい人。
そんな二人が同じ方向を向いたら、きっととてつもない熱量の舞台が生まれるでしょう。
ふと、ルパン三世のカリオストロの城の冒頭で、盗みを働いて逃走するルパンが「まくるぞー!!!」と言うと、次元が車のアクセルを全開にして車をぶっ飛ばす場面を思い出してしまいます…
もしかすると、スピード違反案件が量産されるかもしれません。
それでも私は、そんな舞台を一度観てみたいのです。
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そんな石井先生は、明日初日を迎える『NINE』で指揮を務められます!

オーブのホールでどんな音を響かせてくれるのか、今から楽しみ!
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