ムラ初見で観た『水晶宮殿』。
その時の感想を一言で表すなら、やはり「困惑の連続ノック」でした。
場面が変わるたびに世界観もガラリと変わり、「今、何が起きた?」と思っているうちに次の場面へ。
終演後は、まるで大嵐の中を駆け抜けたような感覚でした。
そんな『水晶宮殿』ですが、東京公演では2回観劇。
「3回観たら全部理解できました!」
……と言いたいところですが、正直なところ、最後まで完全に理解できたとは言えません(笑)。
それでも、不思議なことに、回を重ねるごとに少しずつ好きになっていったのです。
どうやらこのショーは、理屈を追いかけるよりも、ファンタジーとして身を委ねた方が楽しめる作品なのかもしれません。
前半『RYOFU』に続き、今回の後半は『水晶宮殿』を場面ごとに振り返ってみたいと思います。




幕開けからラスボス!デビルフリーザーとフリーザーズがカッコいい
ショーは開幕から、おだちん(風間柚乃さん)演じるデビルフリーザーが登場。
ラスボスらしい圧倒的な存在感で、一気に『水晶宮殿』の世界へ引き込まれます。
そして、その配下であるフリーザーズのダンスがとにかくカッコいい!
中でも印象的だったのが、今公演で退団される羽音みかちゃん。
1幕目の『RYOFU』でも赤兎馬役として長身を生かしたダイナミックなダンスは迫力満点。
でも、フリーザーズのダルマ姿も大変美しく、長い脚のラインを存分に生かしたダンスは、思わず目で追ってしまいました。
一幕『RYOFU』では、赤兎馬として呂布を惑わす魔獣を熱演。
モダンで力強い振付が印象的でしたが、二幕ではフリーザーズとして妖しく華やかな世界を彩ります。
一幕・二幕を通して、ダンサーとしての魅力を存分に発揮できる役どころだったように感じました。
だからこそ、これで月組のダンサーがまた一人卒業してしまうのは本当に寂しいですね。
るおりあくん(瑠皇りあさん)も含め、103期のお二人は「これから」がますます楽しみな存在だっただけに、惜しい気持ちでいっぱいです。
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おだちんがオケピから登場したのをついに見届けたぞ!

何回か見ないとわかんないよね・・・
回を重ねるほど好きになった「恋のデリバリー」
初見では情報量の多さに圧倒されていた私ですが、観るたびに愛着が湧いてきたのが「恋のデリバリー」です。
はるくん演じるデリバリーボーイが、とにかくハツラツとしていて可愛い!
デリバリーガールズもかわい子ちゃん揃いで可愛い!!
全体的な世界観も、どこか80年代の女児向けアニメを思わせる雰囲気で、曲も昭和のアイドルソングっぽい?
デリバリーは現代ですが、全体的なムードとしてはレトロな感じ。
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プリンセス・ジュリーの髪の色が、やっぱりクリーミィマミとかペルシャとかを思い出しちゃうわけさ…

その例え、同世代にも通じる?
初見では「次は何が来るんだろう」と身構えていた場面も、2回目、3回目になると「この場面、好きだな」「何か可愛い!」と素直に思えるようになりました。
色彩はてんでバラバラですが、みんな可愛いのでもう、文句は言いますまい・・・
この場面のおかげで、ショーの楽しみ方も、少しずつ自分の中で見つかってきた気がします。
「ジュリー!」と心の中で叫んだチェス
恋のデリバリーの余韻に浸る間もなく、ショーはチェスの場面へ。
ここでは一転して、ちなつさん演じるメテオのカッコよさが全開です。
少し長めのヘアスタイルに白いスーツ。
腰に巻かれた細長い布。
そして、どこか昭和の懐メロを思わせる楽曲。
2回目の観劇で、
「……もしや、ジュリー!?」
と、思わず心の中で叫んでしまいました(笑)。
私には、ちなつさんのこのスタイルが、沢田研二さんの『カサブランカ・ダンディ』を思い出してしまったのです。
また、レディ・スモーキー役のまのんちゃんも、この場面では普段の可愛らしい印象とは一変。
ぐっと大人びた妖艶な雰囲気で、新たな一面を見せてくれました。
普段は可愛らしい印象の強いまのんちゃんですが、こうした大人っぽい役どころもよく似合います。
一方、おだちんもこの場面では「お兄ちゃん」らしさはまったくなく、冷酷な悪役としてしっかり存在感を放っていました。
兄妹のような印象が強い二人だからこそ、役として全く違う関係性を見せてくれたことも新鮮で、新たな魅力を感じた場面でした。
恐竜ゾーンで観客のHPが一気に削られる(笑)
チェスの余韻に浸る間もなく、『水晶宮殿』はさらに加速します。
今度はメテオとプリンセスが恐竜に変身し、シトリン探しへ。
さらに、デビルフリーザーまで恐竜になって乱入し、プリンセスを追いかけ回すという、なかなか自由な展開です(笑)
プリンセスは「イヤー!」と言いながら逃げ回ってる(笑)
初見は、
「えっ!?」
「恐竜!?」
と、次々と押し寄せる情報量に、頭も感情も追いつきませんでした(笑)。
プリンセスとデビルフリーザーの追いかけっこは、2回めでようやく認識・・・
宝塚のショーは、中盤に見せ場が続く構成がおなじみですが、『水晶宮殿』の中盤はとにかく濃密。
「まだ中盤!?」
と思うほど、次から次へと場面が展開していきます。
私はと言えば、勢いにぶっ飛ばされないよう踏ん張るだけで精一杯。
気付けば、この場面だけでHPもかなり削られていました(笑)
青年フリーザーは束の間のHP回復シーン
そんな怒涛の中盤を駆け抜けた後、ようやく静かな時間が訪れます。
デビルフリーザーになる前の青年時代。
マッチ売りの少女との出会いと別れの物語です。
ここまでの賑やかな世界から一転し、とても穏やかで優しい空気が流れます。
私にとっては、まさに「HP回復シーン」でした(笑)
青年と少女のやり取りは微笑ましく、ほっと一息つける場面なのですが、その結末はあまりにも切ないもの。
青年は、自らの持つ力によって、誤って少女を凍死させてしまいます。
その絶望が、後のデビルフリーザーへとつながっていくのです。
ここで流れる「わすれもの」という楽曲も、とても印象的でした。
この曲は、NHK BSの『中井精也のてつたび!』の挿入曲だそうです。
「僕の忘れ物」「僕の宝物」のワードにハッとさせられました。
ここでのおだちんの歌声に心を洗われました。
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そういや、こうやっておだちんの歌をゆっくり聴く機会って案外なかったよね・・・

おだちん、歌も上手いししっかり踊れるし、実はオールマイティ!?
SNSの考察では、デビルフリーザーは最後までアメジストを持ち続けていたそうです。
プログラムを見ると、マッチ売りの少女(アメジスト)となっています。
死んでしまった少女をアメジストへと変え、「僕の宝物」として最後まで大切に持ち続けていたのだとしたら……。
そう思うと、この歌詞の切なさがより深く胸に響きました。
3回目の観劇では、新たな発見もありました。
絶望した青年は、最後に髪が逆立ったような姿になります。
初見では気付かなかった小さな変化ですが、青年からデビルフリーザーへ変貌していく心の変化を、髪型でも表現していたのかもしれません。
火の国はシックな世界観と美しい衣装が印象的
物語は再び現在へ戻り、舞台は火の国へ。
ここは、それまでとは雰囲気が一変し、とてもシックで大人っぽい世界が広がります。
この場面のお衣装も、赤でトーンが統一されていて、雰囲気があります。
炎神のあみちゃんのお衣装もモダンで、ただならぬ存在感を出していました。
特に印象に残ったのは、じゅりちゃん演じるプリンセスの衣装。
赤いドレスに黒いヴェールという組み合わせが本当に美しく、私には『落下の王国』のエヴリン姫を思わせました。
『落下の王国』
→昨年末、4Kデジタルリマスター版が映画館で公開されるや否や、圧倒的な映像美と独特な衣装の美しさに、異例のロングランヒットを放った映画です。

こうして振り返ると、『水晶宮殿』は場面ごとに世界観も衣装も大きく変わるショーだったのだな、と改めて感じます。
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いや、テイストがてんでバラバラ過ぎて、感情が追いつかない・・・

脳疲労起こしそうになったけど、なんとか耐えた!
メテオ、お疲れさま!と思わず声を掛けたくなったラストバトル
火の国では、デビルフリーザーは野獣の姿となり、ついにメテオを倒してしまいます。
「絶体絶命!」
……と思った次の瞬間。
クイーンが登場し、デビルフリーザーを一撃で撃破。
そして、メテオも復活。
ここは、
「最初からクイーンが倒せたのでは!?」
という声もあるようですが、私は、メテオがクリスタルを集めたことでクイーンの力が戻り、ようやくデビルフリーザーを倒せたのだと受け取りました。(汗)
そう考えた方が、メテオが旅を続けた意味も、命懸けで戦った意味も、ちゃんと物語としてつながるように思えたからです。
だから最後は、
「メテオ、本当にお疲れさま!」
そんな気持ちで舞台を見守っていました。
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一番強かったのはクイーンだった件・・・

デビルフリーザー、一撃必殺されていた・・・
王道のフィナーレに、ようやく一息
物語が幕を閉じると、ここからは宝塚らしい王道のフィナーレ。
退団するるおりあくんとみかちゃんの103期同期コンビが、月組カラーのお衣装で、明るく陽気に歌いながらフィナーレの幕開けをします。
しかし、ここのロケットダンサーズたちのお衣装もボーダー?のトップスにショートパンツという、健康的でキュートな出で立ちです。(ボーダーだったと記憶してますが、間違ってたらすみません・・・)
その後は男役たちの大階段での燕尾服でのダンスに、娘役たちのスカート捌きが美しい群舞と、伝統的な宝塚のフィナーレになります。
ここまであまりにも場面ごとの振り幅が大きかっただけに、
「あぁ、ようやく宝塚のレビューに帰ってきた(笑)」
という、不思議な安心感がありました。
キラキラとしたフィナーレを眺めながら、
「さっきまで恐竜だったよね……?」
と、一人で思い返してしまったのは、きっと私だけではないはずです(笑)。
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いや、むしろ最初からこれで良かったんですが・・・

ヨシマサ先生でも、ル・グラン・エスカリエはとても良かったのになー
耐性がつけば、困惑すら愛すべきショー
3回観ても、正直なところ「完全に理解できた」とは言えません(笑)。
それでも、初見では気付かなかったことが少しずつ見えるようになりました。
恋のデリバリーの可愛らしさ。
チェスでのちなつさんの色気。
青年フリーザーの切ない過去。
そして、一人ひとりの生徒さんが見せてくれた魅力。
最初は情報量に圧倒されるかもしれません。
でも、一度肩の力を抜いて、
「これはファンタジーなんだ」
と身を委ねてみると、このショーの楽しさが少しずつ見えてくるような気がします。
初見は「困惑の連続ノック」
3回観ても、決して簡単なショーではありませんでした。
それでも、不思議と「もう一度観たい」と思わせる魅力が、このショーにはありました。
月組の持つエネルギーが、ヨシマサ先生の自由な発想と化学反応を起こして生まれた、とびきり賑やかで個性的なレビューだったと思います。
指揮者の上垣聡先生に「体力の限界チャレンジみたいなショー」と言わしめた今公演のヨシマサショー…(名言、出ました・・・)
観客もですが、オケもジェンヌも、全員、気づけば「全力疾走」でした…(笑)
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ダッシュ、何本走らされるんだろう的な・・・

爆風みたいなショーとでも言うべきか・・・
そして最後に、これは完全に私の勝手な妄想なのですが……。
一幕『RYOFU』では、ようやく互いの気持ちを確かめ合えた呂布と雪蓮は、その直後に命を落としてしまいました。
だから私は、二幕では二人がメテオとプリンセスとして別の世界へ転生し、今度こそ幸せな結末を迎えた物語なのだと、勝手に受け止めることとしました。
もちろん、これは公式の設定ではありません。
でも、そう思って観ると、一幕で叶わなかった二人の願いが、ファンタジーの世界でようやく報われたような気がして、微笑ましくもあり…
『水晶宮殿』は、最後まで不思議なショーでした。
でも、その不思議さも含めて、今ではすっかり愛着の湧いた作品です。
すっかりねじ伏せられました。降参です。(笑)
耐性がつけば、愛すべきショー。
そんな言葉が、今の私には一番しっくりきます。
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