来月から『ポーの一族』の上演も始まり、昨日は新人公演配役も発表されました。
観劇前に原作を読み返したり、これから読んでみようかなと思っている方も多いかもしれません。
そんなタイミングですが、今日は少し寄り道のお話です。
実は私、『ポーの一族』を見るたびに、なぜか別の漫画もセットで思い出します。
それが、川原泉先生の『笑う大天使』です。
しかも、かなり変わった入口でした(笑)。
私の中で『ポーの一族』は長年「プーの一族」でした
『笑う大天使』には、主人公3人組のひとり・和音さんが、史緒さんと柚子さんの解説についていけず、「ポーの一族」をなぜか「プーの一族」だと思い込む場面があります。
つまり、
「プーの一族」
=くまのプーさんのご家族の物語(?)
という謎解釈。
今考えても自由です(笑)。
でも、この印象が強すぎて、私の中では長いこと『ポーの一族』と『プーの一族』がセットになっていました。
今度ムラで観劇予定なのに、未だに脳内を横切ります。
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「プーの一族」・・・和音さんの謎変換、面白すぎる。

和音さん、その前はオスカルをラスカルとずっと勘違いしてるし・・・笑
後から原作を読んで、「あの場面だ!」となった沈丁花の君
さらに印象に残っていたのが、「沈丁花の君」の場面でした。
『笑う大天使』では、和音さんに憧れる下級生の女の子が登場します。
3人が外でランチを楽しんでいる中、その子は遠くから、和音さんを見守っているのですが、夢中になるあまり、髪が沈丁花の枝に絡まってしまいます。
普通なら、そこで終わりそうなものです。
ところが、そこは『笑う大天使』。
その状況を見た史緒さんと柚子さんが、「助けてやれよー」と和音さんをせき立てて、和音さんはしぶしぶ助けに行きます。
どうやら2人の中では、目の前の光景がすでに別の物語と重なって見えていたようで、
「これは……!」
和音さんが枝に絡まった髪をほどいてあげる。
そして、その一連の流れを見ながら、2人はその下級生を「沈丁花の君」と呼び始めるのです。
当時読んでいた私は、
「川原泉先生、また変な方向に盛り上がってるな(笑)」
くらいにしか思っていませんでした。
ところが。
後になって『ポーの一族』原作を読んだ時。
メリーベルが沈丁花の枝に髪を絡ませ、それをユーシスがほどいてあげる場面に出会いました。
その瞬間。
「あーーーー!!」
となりました。
『笑う大天使』の「沈丁花の君」って、単に名前だけではなく、あの場面そのものだったんだ。
私は元ネタ→オマージュではなく、オマージュ→元ネタという順番で出会っていたので、新しい作品というより、長年知っていた景色の答え合わせをした感覚でした。
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元ネタの場面見た瞬間、興奮しました。

いや、順番違うでしょ・・・・
ちなみに『笑う大天使』自体も、とても好きな作品です
ここまで読むと、「ポーの一族ネタ漫画?」と思われるかもしれません。
全然違います。
むしろ『笑う大天使』そのものが大好きで、今でも文庫版は処分せずに手元に置いて時々読み返しています。
舞台は超が付くお嬢様学校「聖ミカエル学園」。
主人公3人は、それぞれ、庶民であることを必死にひた隠し、ものすごい猫を被ってお嬢様として振る舞っています。
でも史緒さんが聖ミカエルに転校して二日目、担任のロレンス先生の授業が急遽自習になったことをいいことに、教室を抜け出して行方不明騒ぎになります。
行方不明になった文緒さんを学級委員長の柚子さんと副委員の和音さんが探したところ——
林の方から煙が立っていることに気づき近づいていくと・・・
焚き火で焼き上がったアジの干物をくわえている史緒さんに遭遇(笑)
何という衝撃展開(笑)
ここで文緒さんは開き直って庶民言葉に戻ります。
すると、それまで綺麗なお嬢様言葉だった和音さんも柚子さんも、あっという間に素に戻る。
そこから始まる、謎の庶民自慢大会。
この場面で、3人が急に近くなる感じがすごく好きです。
面白いのは、3人とも庶民性をひた隠しにしていたのに、隠しきれない何かが、周囲のお嬢様たちには、唯一無二の魅力に感じられ、ますます、学園の人気者になっていく3人・・・(笑)
演じていたものが少し剥がれた時に、人柄が見えてくる。
そして、この3人がつるむと次から次へと出てくる雑な動作に言葉遣いが、ある種のテンポの良さを生み出しています。
『ポーの一族』再演の一報の際に、家にあった『笑う大天使』の文庫本を引っ張り出して読み始めましたが、もう、あまりに可笑しくて、笑いすぎて涙が出ました(笑)
そこが、この作品の好きなところです。
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ここ、一番最初の名場面だよね!

3人が仲良くなる瞬間だよね。
名作や権威も、一回人間サイズで読むところが好き
で、この3人の言いたい放題ぶりは、名作にも遠慮しません。
史緒さんの行方不明騒動で、課題未提出となった3人組は放課後、担任に呼び出され、3人で必死に麗しい友情ぶりを見せるのも虚しく、ペナルティとして源氏物語のレポートを課されました。
最初は、それぞれで課題をこなそうとしていたのですが、源氏物語の話が長すぎて一人では無理!となって、3人、1日置きにそれぞれの家に遊びにいって、議論した結果——
源氏の多情ぶり。
何かと涙する様子。
紫の上との関係。
容赦ない現代目線の読解と批判が始まります。
もう、この3人の光源氏への批判がもう、至極真っ当過ぎて、大爆笑ものです。
3人が光源氏に真剣に腹を立ててぐったりしてる様もまた笑えます。
もはや、この場面のインパクトが強過ぎて、スカステで観た明日海りおさんトップの『新源氏物語』でも、この場面が重なりました(笑)
その会話を聞いた史緒さんのお兄さん(通称・殿下)や若月さん(幼い頃からの和音さんの養育係兼会長である父親の秘書)は沈痛な面持ちとなる(笑)
そして、ロレンス先生は提出されたレポートに頭を抱える。
でも、私はこういうところも好きなんです。
名作だからありがたがるのではなく、一回普通の人間目線に戻して読む。
その気取りのなさや率直さがまた、川原作品の魅力だと思います。
観劇前後、少し寄り道したくなったら
気付けば『ポーの一族』から脱線して、ほとんどが『笑う大天使』の話になってしまいました。
でも私の中では、なぜかずっと繋がっている作品です。
原作を読むのも楽しい。
観劇するのも楽しみ。
その前後で、もし少し寄り道したくなったら『笑う大天使』も覗いてみてください。
もしかすると観劇中、どこかで「プーの一族」が脳内を横切るかもしれません(笑)。
ちなみに私は、未だにそうです。
『ポーの一族』を漫画で読んだ時も、ずーっと、ポーの世界と同時並行で、『笑う大天使』の世界も脳内で走っていました(笑)
でも、これが不思議と干渉しないのも、川原先生の作品に、萩尾望都先生へのリスペクトが根底にあったからだと思います。
もし良かったら、川原先生の『笑う大天使』読んでいただけると嬉しいです。
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